フリーハンド
毎日写真を撮っていると、すごく集中してものがよく見える日もあれば、散漫でまったく見えなくなる日もある。
見えるときというのは、「こっちこっち」と被写体に呼ばれる感じがある。受動的にすーっと被写体が自分の中に入ってくるような。
見えないときというのは、得てして能動的に「撮ろう、撮ろう」としているときである。
そういうときの写真は、過去の写真をなぞっていたり頭で解釈していたりする不自由な写真だ。
スナップ写真は、どこからともなく飛んでくるボールの気配に気づいてさりげなくキャッチすることに似ている。
すでに何かを持っていたらキャッチできない。
受動的であることは、フリーハンドで自由であるということである。